葬儀を行う場所(斎場)には、自宅、寺院などの宗教施設、葬祭業者が運営する専門の式場(葬祭会館、セレモニーホール等)、自治体や公共団体の施設、ホテルなどがあります。
葬祭業者が葬儀や法事を行うために作った施設なので、機能的には最も充実しています。葬儀式を行う場所だけでなく、宿泊の施設や、会食の施設、宗教者の控室なども用意されているケースが多く、建物のデザインに趣向を凝らしたものもあります。
ただし、ほとんどの場合は式場を所有する葬祭業者に葬儀を依頼することが、式場を使用する条件になります。しかし、貸し斎場の場合は、特定の葬儀社に依頼しなくても使えます。
寺院の場合、本堂などで葬儀を行う場合と、境内地などに別途葬祭用の会館(貸し斎場)を建設して一般に貸し出す場合があります。前社の場合は、檀家の葬儀が中心になります。後者の場合は、他の宗派でも利用できることが多く、東京などの都市部で多く見られます。
20年ほど前までは、半数以上の葬儀が自宅で行われていました。現在でも四国地方などのように自宅で行うケースが多い地域もあります。しかし近年 は、集合住宅に住む人が増え、近所との付き合いが少なくなるなどの生活環境の変化によって、葬儀を自宅で行う人は急減してきました。
しかし、故人を自宅から送り出したいという心情や、費用的な面から、自宅で葬儀を行いたいというニーズもあります。
一つは市区町村などが有している葬祭会館あるいは葬祭会館として使用可能な集合施設です。例えば、東京二十三区では区営の葬祭会館が数多くありますし、他の地域でも、例えば火葬場に併設される葬祭会館はよくあります。
いまひとつは、自治会館、町民館、コミュニティセンター、マンションの集会場などの施設です。
特定の葬祭業者に依頼しなくても構いませんし、安い値段で借りることができます。
最近では少子高齢化の流れからか、お別れ会・偲ぶ会などを行うホテルが増えています。施主にとっても参列者へのもてなしや、宿泊を考えるとホテルには利点があります。
ですが、 基本的には遺体の持ち込みや、焼香などの点では制約を受けますので、厳密には葬儀の式場とは言えません。
葬儀の後遺族や親戚が集まって食べる精進料理は、大阪府では初七日の法要のあとに食されます。高野豆腐や唐揚げは通常の精進料理でも特に使われる頻度が高い料理ですが、通常四角形に切られて調理されるこれらの料理は、大阪府の精進料理では三角形に切られます。この風習は、普段とは異なる行動を行うことで、日常と葬儀を切り離す「逆さごと」の派生として定着した風習であると言われています。
その他、通常葬儀の日として避けられがちな友引の日にやむなく葬儀を行う場合は、「いちま人形」と呼ばれる人間の代わりになる人形を棺に納める、骨壷を二つ作って一報を菩提寺などに納める、などの風習が大阪府には存在しています。
全国的には香典袋は白と黒の水引が付いた者が使われますが、これが大阪府の場合は少し水引の色が違っており、黄色と白の水引が香典に付けられます。
白黒の代わりに黄色と白の水引を香典に付ける風習は全国でも近畿地方でしか見られないものですが、この風習は、この地方で水引の色として黒が避けられていたことが理由とされています。つまり喪中に使われる黒は、宮中を象徴する色である「玉虫色」に似ており、近畿地方では特に混乱を招いていたため、黒の代わりに「喪」を象徴する色である黄色が水引の色として使用されたと言われているのです。